歴史

信長の棺

今日は珍しく本の感想を。

移動が多いので、飛行機や新幹線の中でよく本を読みます。

移動中の読書なので、文庫や新書を選ぶことが多いのですが、先日は、『信長の棺』文庫版を読みました。

ちなみに単行本はこちら↓

こちらの本は、ジャンルとしては、歴史ミステリーで、小泉元首相が愛読したとかで、話題になったことがあったそうです。

著者はビジネス系のキャリアを持つ、かなり高齢の人ですが、物語自体は違和感なく読めました。

信長の伝記として筆頭に挙げられる、『信長公記』の著者とされる太田牛一が主人公で、主人公が信長の死の真相・遺体が見つからない謎を探っていく、というお話です。

なかなか面白かったのですが、一番引っかかったのは、主人公がまったく現代人のメンタリティで思考し、行動してる点です。

緻密に推理を組み立てるには、現代人思考のほうが便利に感ずるかもしれないけど、昔の日本人でも、独自の思考回路で推理できたと思うんですよ。

これなら、主人公がタイムスリップして当時の世界を生きていく、という設定にでもしてくれた方が、一見荒唐無稽なようでも違和感がないです。

それか、主人公の視点で統一しないで、極端に現代的な部分は、主人公は知らないが、実は、みたいに作者の視点で語ったらよかったんじゃないのかなー。

あと、主人公が爺さんのくせに、若い女性とくっつくのが気持ち悪い(笑)。

高齢でも恋をするのは構わないけど、もうちょっと相手を選ぶとか、奥ゆかしくしっとりした関係だってあると思うんですけど(^_^;)。

しかも相手から言い寄られて、というのが、なんか唐突で説得力無かったです。

著者がかなり高齢だから、若者と同じように若い女性にもてたいという願望なのかなー。

ちょっと哀しい・・・。

全体として、信長の時代の情報は古い通説のままではなく、最近の研究で明らかになった情報を取り入れていると思いました。

たまたま私は、ちょっと前から秀吉関係の本とか、イエズス会の布教の本とか、初期キリシタンの本などをまとめて読んでいたのです。

そんな事前情報の中に出てきた、安土城の構造と天皇との関わりとか、秀吉が伝承どおりの農民の子ではなく、商業や技術を持った移動する民の一族だったという仮説なども、過不足なく取り入れられていて、柔軟な執筆姿勢だと思いました。

そこらへんは、使い古された通説の焼き直しばっかりの、消耗品のような戦国時代ものの小説とは一線を画していたと思います。

そんなわけで、多少引っかかるところはあったものの、なかなかレベルは高くて面白く、一気に読んでしまいました。

おすすめ度は★★★★かな(★5で満点として)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)